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乙女椿

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2019-10-08 (Tue)

宝塚公演「A Fairy Tale」

宝塚公演「A Fairy Tale」

前回と引き続いて。連休はお彼岸の墓参りとテニスを見に行ってまったく家事ができず。次の週末はたまりにたまった用事を片付けねばと思っていたら。金曜日の夜にいきなりのLINE。「宝塚いかへん?」えーと…。「トップのさよなら公演で、なかなかチケットとれないんだけど、急にいけない人が出て」「ほら、『花より男子』の公演で出てた人の組だよ」あのねー、美容院の予約とってて…。「どこの美容院?家の近くだったら、終わってか...

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前回と引き続いて。

連休はお彼岸の墓参りとテニスを見に行ってまったく家事ができず。次の週末はたまりにたまった用事を片付けねばと思っていたら。

金曜日の夜にいきなりのLINE。
「宝塚いかへん?」

えーと…。
「トップのさよなら公演で、なかなかチケットとれないんだけど、急にいけない人が出て」
「ほら、『花より男子』の公演で出てた人の組だよ」

あのねー、美容院の予約とってて…。
「どこの美容院?家の近くだったら、終わってから間に合うやん」

結局押し切られました。

**

美容院にて。
すみません、このあと宝塚行くので、1時間でできます?
「あー、トリートメントは無理ですねー」
…じゃ、シャンプーとカットで。

美容院が終わったのが10時。開演は11時。
ぎりぎり5分前に滑り込みました。

チケットの席は、A席。後ろから2番目の中央。中央なので全体がよく見えました。
後ろには立見席…!!! すごい人!
立見席さえ取れないと聞いていましたが、驚きました。中には、外国人の姿もちらほら。

演目は「A Fairy Tale」とレビュー「シャルム」。
トップの明日海りおさんのさよなら公演、それも最後の週末ということで、満員の客席は異様な熱気に包まれていました。

takarazuka.jpg

さすがに、私でも名前を知っているトップは、歌・お芝居・踊りの三拍子がそろっていて、とても華やかな方でした。トップはすべての人の視線を集める人。出てくるだけでその場の空気を支配する人。5年もトップを守っていた人はカリスマ性がすごかったです。

トップ以外では、「花より男子」のライブビューイングで見た人をオペラグラスで探していました。道明寺の役の人は、次期トップだとか。そして、つくしの役の人は、やはり得意技なのか、見事な側転をレビューで披露していました。

客席前のほうの中央には、前娘役トップの方が来られていて、レビューの途中で客席に降りてくる場があるのですが、そこで会話を交わし、客席が沸いていました。

レビューのほうの、男役全員のタンゴが良かったです。お芝居のほうでは、時々混ざるコミカルな場面が好きでした。

金・土・日と2回公演。で、月曜日が千秋楽。
ファンクラブの方たちが白い服を着て、さよならパレードを見送ったそうです。
11月の東京での公演がラストとか。
すごい人が集まるのでしょうね。

公演後の喫茶店にて。
お茶を飲みつつ、プログラムを見せてもらっていたのですが、載っている写真の大きさでその人の位置がわかります。トップに近いほど写真が大きい。総二郎の役立った人の写真が小さく、でも今回の公演でも割とセリフのある役だったよな、と思いながら見てました。
右隣の席には、同じプログラムを持った二人組の女性。左側も同じでした。

今年は珍しく宝塚に縁のある年でした。
なんかの抽選で申し込んだら当たったから行かないか、といって、「霧深きエルベのほとり」を見に行き、「花より男子」のライブビューイングにも行きました。
ちなみに、10月13日にあるという、別のトップさんのさよなら公演のライブビューイングにも誘われましたが、そちらはパスしました。…台風大丈夫でしょうか。

さて、現在の状況ですが。
今書いている総つくの方向が見えてきました。類つくの分はどっちにどういこうか、まだ固まっていません。あきつくは…1ページ書いただけで挫折してます。かっこいいあきらくんが書きたいんですけど。
すみません、こんな感じです。
書き次第UPいたします。もうしばらくお待ちくださいませ。

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Re: No Subject * by ロキ/イズン
てみ**さま

こんばんは。
ヅカファンでいらっしゃるんですね。
明日海りおさんの公演は、ポーの一族とこのさよなら公演を見ました。
毎月通う友達が、なかなかチケットがとれなくてB席で見に行った後で、A席の切符が急遽まわってきて
こちらにお鉢がまわってきたのです。
私みたいなのが行って申し訳ないです💦

類くん役の方、華がありますよね。すぐに舞台で見つけることが出来ました。
これからが楽しみですね。

こちらのほうは、すでに風が台風です。
でも、去年に比べるとマシではないかと。
関東の方が大変です。どうぞご無事で。被害に遭われませんように!

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2019-09-29 (Sun)

東レパンパシフィックオープン

東レパンパシフィックオープン

こんにちは。更新が滞っていてごめんなさい。秋からの仕事が始まり、追いまくられています。なかなかまとまった時間が取れず、なのに、遊びの誘いには乗ってしまっていて。どこへ行ったかと言うと。靭公園テニスコート。これ、関西の人しか読みづらいと思いますが、“うつぼ”と読みます。東レパンパシフィックオープンテニスの決勝戦に行ってきました。全米オープンで敗れた後、大坂選手が日本に来ると知って、見たいなと思っていた...

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こんにちは。
更新が滞っていてごめんなさい。
秋からの仕事が始まり、追いまくられています。なかなかまとまった時間が取れず、なのに、遊びの誘いには乗ってしまっていて。

どこへ行ったかと言うと。
靭公園テニスコート。
これ、関西の人しか読みづらいと思いますが、“うつぼ”と読みます。
東レパンパシフィックオープンテニスの決勝戦に行ってきました。

全米オープンで敗れた後、大坂選手が日本に来ると知って、見たいなと思っていたところ、友達が行きたいといってくれて、急遽チケットを取りました。
行ったことがないので、どの席が見やすいかとかわからず、とりあえずとれたところでいいや、でとったんですが、見やすい席でした。

何度もテニスの試合を見たことがある友達は、必要なものとして、
・バスタオル(座布団がわりにする、ひざ掛けにする、頭からかぶる、などなど)
・タオル(汗ふき、ひざ掛け)
・帽子、日傘
・半分凍らせた水分
・日焼け止め、保冷剤
などなどを教えてくれました。

実は、私も昔々にプロの試合を見に行ったことがあるのですが、それはインドア。
伊達公子が現役だった時代です。
冬のインドアの試合だったので、夏のアウトドアでの観戦は今回が初めてでした。

ところが、台風が近づいてきていて、雨により順延。決勝が順延されたら、仕事で見られない…とがっくりしていたところ、なんとダブルヘッダーで準々決勝・準決勝が行われ、決勝は本来の時間通りになりました。

曇りで昼からは雨が降るかもという予想だったにもかかわらず…。呼んだ?とばかりにお日様が出てきて、暑かった!入場の時に渡されたうちわをパタパタと使いながら観戦しました。

終始落ち着いてプレーしていたなおみちゃん。相手のいいショットにはラケットを叩いて称え、途中一回だけ、自分のミスに悪態をついていたみたいですが、インなのかアウトなのかわからないほどの高速サーブには観客席からどよめきが起きていました。200キロ近いサーブって、本当に速い!ネット際の前に落とされたショットを柔らかく返したり、相手のラケットを揺さぶるような回転のかかった球を打っていて、すごいなあ、という言葉しか出ない。相手のすらりと足の長いロシア人選手も粘るんですけど、終始なおみちゃんが圧倒してストレートで下しました。

naomi.png


第1セットの終わりに、小さくガッツポーズをして「カモーン」の一言。「生カモーン」を聞いたね、という声があちこちから聞こえていました。

客席の一角になおみちゃんに拍手を送る10人ほどのグループがあって、あれは、とよく見たら、ご両親とスタッフたち。表彰式ではその全員でも写真を撮っていました。

客席は満員で、杖を突いたお年寄りから、ベビーカーを押した若い夫婦など様々な年代の人が見に来ていて、お祭りのようでした。

試合前のエキシビションマッチ(関西出身の元プロテニスプレーヤーとジュニアがチームを組んでの対戦)、表彰式と合わせて、約3時間。お日さまの下でこんなに長く座っていることがあまりないので、さすがに疲れました。

かき氷を求めてさまよったのですが、コート近くの店はいっぱいで、そのあと移動したところでは、すでにかき氷は終わりました、とのこと。スタバでお茶飲んで帰りました。

ラグビーワールドカップが盛り上がっていて、こちらも見たいです。
ファンゾーンがいいな。

スポーツの秋、でした。

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Re: No Subject * by ロキ/イズン
ma**さま

目の前で見るテニスはド迫力でした。
でも暑かった!
自分から水分が抜けて、干物になっていく感覚。
TV観戦が楽ですね。
コメントありがとうございました。

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2019-09-21 (Sat)

闇の中を走っている(後編)

闇の中を走っている(後編)

真面目に勉強してさえいれば、そして良い成績をとっていれば、将来は安定すると思っていた。F4みたいな大金持ちになりたいわけではない。ただ、自分の口を養えるだけの仕事について、地道に生きていけばいいと思っていたのに。数少ない尊敬できるゼミの先輩が消息を絶った。卒業して一流会社に就職し、望んでいた仕事について、バリバリと頑張っていたのに。自分に課せられた仕事につまずき、そのたった一つの失敗が会社に損害を...

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真面目に勉強してさえいれば、そして良い成績をとっていれば、将来は安定すると思っていた。F4みたいな大金持ちになりたいわけではない。ただ、自分の口を養えるだけの仕事について、地道に生きていけばいいと思っていたのに。

数少ない尊敬できるゼミの先輩が消息を絶った。
卒業して一流会社に就職し、望んでいた仕事について、バリバリと頑張っていたのに。
自分に課せられた仕事につまずき、そのたった一つの失敗が会社に損害を与え、責められたのを苦にしていたらしい。

所属しているゼミは外部生の比率が高く、おおらかな先生のもと、居心地のよい場所だった。その中でも、奨学生でバイトに明け暮れていて、でも何くれとなく同じような境遇のつくしの面倒を見てくれ、励ましてくれていたのが、その先輩だった。

そして、その先輩はつくしの理想となり、たどり着きたい目標になっていた。
-ゼミの先生からそんな話を聞くまでは。

「牧野さんは、町田君とはよく話していたと思うのだけど、最近、連絡があった?」
「いいえ、卒業されてからは、何も。お仕事が忙しいのかな、と思ってたんですが。」
「そうか…。どうも就職先でトラブルになったらしくて、行方不明らしいんだ。何か知ってたらと思ったんだが…。」

絶句したまま、何も言えなかった。

真面目に仕事に取り組んで、でも、たった一度、犯してしまった失敗で、人生が狂ってしまう。そんなことがあるなんて。
じゃあ、あたしは?
どんなに真面目に授業を受けてても、就職した先で何かしでかしたらどうなるんだろう?
じゃあ、道明寺は?
あたしなんかと付き合ってた、それが失敗だったとみなされたら、どうなるんだろう?

考えだしたら、眠れなくなった。
目標が見えていたのに、見つけたと思った光は消えてしまった。
考えても、考えても、答えは出ない。
でも、考えることをやめられない。

想像は悪い方へと膨らみ、それが真実のように思えてきて、授業にもバイトにも集中できなくなっていた。それでもがむしゃらに毎日を過ごしていたら、体調を崩してしまったのだ。

**

ぽつりぽつりと話すつくしの言葉を、類は黙って聞いていた。

明るくて、一生懸命に生きているけど、実は繊細でくよくよ考え込んでしまうこともある牧野。今回も、ゼミの先輩を心から心配して、そして自分もいつかそうなるかも、と思ってしまった。そして、俺たちのことまで心配して…。バカだな。

「牧野」
呼ぶを顔をあげた。
「あんた、バカだね」
えっ、という顔をしたあと、ムッとしたようだ。

「雑草なんだろ?」
目をパチパチさせたあと、こくんと頷いた。
「踏まれても、立ち上がるんじゃなかったの?」
思わず、吹き出したようだ。

間違いを犯さない人間なんて、いないよ。でも、そのあとどうするかで、未来は変わってくるんじゃない?

じっとこっちを見つめているつくしは、うん、と頷いた。
…よかった、気分が上がってきたみたいだ。

「だよね。失敗しない人間なんていない。」

「だろ?司のこと考えてみてよ」

「道明寺の失敗?…何かあったっけ?」

「日本語弱いじゃん」

「うんどろの差、とか」
「衛生教育、とか」

「思い出した…」

そうだね。間違いをしでかさない人なんていない。しないように努力すればいいんだ。しても、生きていっていいんだ…。

「類、ありがと」
しっかりと目に力が戻ってきたつくしは、礼を言った。

**

先輩は、海で自殺しようとしていたところを保護された。保護した人に怒られたらしい。
「一度の失敗で人生を終えるつもりか!」と。
もう会社には戻りたくないし、生きていても仕方ない、という先輩に、もう一度自分は何をしたいのか見つめなおせ、といったその人は、地元の水産会社の人で。

「結局、前の会社は辞めて、その水産会社にお世話になることにしたらしい。」

ゼミの先生から、そんな風に聞いた。

英徳大学という、最高の学府で学んだことは、机上の学問。それをどう実際に生かしていくか、卒業後の人生をどう過ごしていくか。

前とは比べ物にならない、小さな会社に再就職したが、そこでは自分の立ち位置がよく見える。一人何役もしなくちゃいけないぐらい、こまごまとした仕事がたくさんあるが、片づけるにつれ、自分が役に立っていることを実感できる。今は、会社で働くことが楽しくて仕方ない、と言っていた、と。

もっともっと大人になってベテランになったときに、なんであんなふうに悩んだんだろう、と思う日が来るよ、とゼミの先生は笑っていた。

**

ガッシャーン!
すさまじい音にため息をついたつくしと店長。ファミレスのバイトは、深夜だけ続けているが、最近入ってきた新人くんが、慣れないせいか、いろいろとやらかしてくれる。本人は一生懸命で、次からは大丈夫です、と言うが、その言葉がむなしく聞こえてしまう。

「…前向きなのはいいんだけどねえ。もうちょっと反省してくれないもんかねえ。」
「ですね。今度はお皿を落っことしたみたいですね。」

たった一つの失敗で、人生を終わらせようとする人もいれば、何度失敗しても、全然こたえていない人もいる。

「そのうち、ベテランになりますよ、あの子も」
そんなつくしの言葉に、ため息をつく店長。
ぺこぺこと謝る新人くんのところに、注意すべく歩いて行った。

あの夢はもう見ない。
不安になっても、そばで大丈夫、と言ってくれる人がいるから。

「いらっしゃいませ!」
ほら、迎えに来てくれた。

「類!」

にっこり笑う彼は、あたしの光。
いつの日も、いつまでも。

FIN

2019-09-19 (Thu)

闇の中を走っている(前編)

闇の中を走っている(前編)

闇の中を走っている。何かに追われているように、必死に走っている。息が切れて苦しいし、胸からはゼイゼイ音がする。汗が額から流れ落ちていく。時たま、かすかな明かりが遠くに見える。ああ、助かった、とそちらへ向かおうとすると、いつの間にか明かりは消えて、真っ暗な闇だけが広がっている。誰か!誰か助けて!息をするだけで精いっぱいで、助けを呼ぶ声は自分にも聞こえない。なんで走っているんだろう。いつまで走ればいい...

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闇の中を走っている。
何かに追われているように、必死に走っている。
息が切れて苦しいし、胸からはゼイゼイ音がする。汗が額から流れ落ちていく。

時たま、かすかな明かりが遠くに見える。
ああ、助かった、とそちらへ向かおうとすると、いつの間にか明かりは消えて、真っ暗な闇だけが広がっている。

誰か!
誰か助けて!

息をするだけで精いっぱいで、助けを呼ぶ声は自分にも聞こえない。

なんで走っているんだろう。
いつまで走ればいいんだろう。

のどが痛い。
水・・・水が欲しい…。

ふと、何かが唇に触れた。思わず口を開けたら、何か冷たいものが、流れ込んできた。こくんと飲み込んだ。水だ…!もっと、とまた口を開けた。何かやわらかいものが触れて、また水が流れ込んできた。

少し楽になって、眼を開けたら、誰かの顔が覗き込んでいた。
額にさらりとした髪の毛の感触。そして、薄茶色い、ビー玉の瞳。

「…類?」
自分の声がガサガサしている。

「牧野、苦しい?まだ熱が高いからね…心配したよ。」

見回すとそこは見慣れた自分の部屋。
「ど…して…?」

「大学のラウンジで倒れてたんだよ。すごい熱だし。びっくりしたよ。」
心臓が止まるかと思った、と、こわばった顔で言う。
「そ…なんだ…」
ありがとう、と言ったつもりの声は、言葉にならず。また眠りの底に引きずられていった。

**

ぽっかりと意識が浮上した。
右手が暖かい。見ると、類が手を握ってくれていた。突っ伏して寝ている。
外は薄明るくなっていて、夜明けのようだ。
熱が下がったのか、体はずいぶんと楽になっていて、でもびっしょり濡れたパジャマが気持ち悪かった。

類のほうに体を傾けて、その髪に触った。さらさらの髪。と、ハッとした様子で、類が目を覚ました。

「牧野?」
「ん…」

手を額に当ててくる。
「よかった…熱が下がってる。」
ちょっと待ってて、と言いながら、台所の方へ類が行くのを見送った。つながれていた手が離れて、なんだかすーすーして寂しい。

戻ってきた類は、コップに冷たい水と、洗面器にお湯を入れて、タオルを持ってきてくれていた。

背に手を当てて起こしてくれたので、水を飲んだ。一気に飲むと、冷たい水が体の中を通って落ちていくのがわかった。ふう・・・とひといきついた。

「汗びっしょりかいてて、気持ち悪いだろ。着替えなよ。」と、真新しいパジャマと下着をそばにおいてくれる。
ぎょっとしてみれば、自分のではないもの。気が付けば、いま着ているのも、自分のパジャマじゃない!えっ、着替えてる?

類が、はい、と言いながら熱いお湯でしぼったタオルをくれるけど、どうやってこの部屋に帰ってきたのか、今着ているパジャマはどうしたのとか、どうやって着替えたのかとかの疑問が頭の中をぐるぐると駆け巡っている。

「とにかく、むこう向いているから、早く脱いで着替えて。で、顔と上半身だけでも、タオルで拭きなよ。」

すぐそばにいるのに、着替える?無理無理無理!

「わかった、外に出てるから。着替えたら呼んで?」とため息をつきながら出て行った。

カチリというドアの音を聞いてから、とにかくドアに背を向けて、濡れて体に張り付くパジャマを脱いだ。絞ってくれたタオルでまず顔や首筋を拭き、自分でもう一回絞って体を拭いて下着からパジャマまで全部着替えた。さすがに、すっとしたけど、また体がだるくなってきた。

「牧野?」とドアの外から呼ぶ声に、しわがれた声で、「着替えたよ」と返事したらすぐに入ってきて、洗面器とタオルを片付け、冷蔵庫から何か持ってきた。

「薬飲まなきゃいけないけど、先におなかの中に何か入れなきゃね。」と持ってきてくれたのは、プリン。はい、といいながら、スプーンですくって差し出してくれるから、思わず口を開けて食べさせてもらった。荒れたのどをつるりと滑り落ちていく冷たいプリン。ひんやりとして気持ちよかったけど、舌がおかしくなっていて、味はわからなかった。半分ほど食べたところで起き上がっているのがつらくなり、そのまま横になった。

「あの…、着替えとか…」と口ごもりながら聞くと、察したらしく、類が教えてくれた。
ラウンジで倒れているのを見て、とりあえず学校の保健室に連れて行ったこと。保健の先生が風邪だといったので、邸に連れて帰ろうかと思ったのだけど、家へ帰る、というから車で送り、佳代に来てもらって(女中頭の佳代さんね)、着替えをさせてもらったこと。その際、新しい下着やパジャマも用意してもらい、薬とか食べ物もそろえてくれたこと。

類の話は続いていたけれど、安心したのか、またいつの間にかまぶたを閉じ、わけがわからなくなった。

再び目が覚めた時は、夕方だった。まるまる一昼夜寝ていたみたいだ。
・・・このところ眠れなかったから、だね。

「眠れてなかったの?」と類の声。
ベッドのそばに座って、本を読んでいたみたいだ。

「うん…あの、ありがとう。いろいろと・・・」と口ごもると、つ、と顔を寄せてきて、額を合わせた。思わずのけぞって離れたけど、
「ん、大丈夫。熱は下がったね。」と、あっさり離れていく。

「お腹空いた?」と聞くから、どうだろうと考える暇もなく、おなかが鳴った。
「くすっ、返事聞こえたよ。」と言って、立っていく。

うーんっと大きく伸びをして、一瞬ぶるっと震えた。
「ちゃんと、上に何か羽織っときなよ。また熱が出るから。」と言いながら、何か台所でカチャカチャとしている。

ずっと眠れなかった。
うとうとするたびに同じ夢を見る。
暗闇の中を走っている夢。

あの赤札の時みたいに、追いかけてくる誰かがいるわけではない。ただ、何か知らないけれど、必死で走っているんだ。
どこへ行こうとしてるのか。
何かしなきゃいけないことがあるからなのか。

ベッドに座り込んだまま、ぼーっと考え込んでいた。

「牧野」と呼ばれて、はっと類を見ると、何か暖かそうなものがテーブルに載っている。
そろそろとベッドを降り、テーブルの上を見たら、そこにはおいしそうなスープが湯気を立てている。そして、横にはロールパン。

「あんた、一昼夜寝てたし、その間食べたのはプリンをちょっとだけだっただろ。おなか空いてるはずだよ。」
「うわ・・・おいしそ・・・」
えーと、これはどうしたのだろ。

「佳代がタッパーに入れて持ってきたから、鍋に入れて温めただけ。」
召し上がれ、との言葉におそるおそるスプーンですくって口に運ぶと、体に染み渡るおいしさ!
「あ、おいしい・・・!」
夢中になって食べた。でも、スープ1杯とロールパン1個で、胃が苦しくなった。

あ、類は?食べた?
「大丈夫。俺の分もあるから食べるよ。」
ゆったりと、スプーンを使う様さえきれい。でも、100均の食器が似合わないなあ…。

コトン、と置かれたのは水のグラスと薬。
「飲んで。」
こくん、とうなずいて、薬を飲んだ。

「牧野。」
心配そうな瞳がこちらを見ている。

「あんたがいつも忙しそうなのは知ってるけど、なんで眠れなかったのに無理したの?」


2019-09-17 (Tue)

増税前の…

増税前の…

台風、大雨と落ち着かない天気が続きますが、停電が続いている方にお見舞い申し上げます。この猛暑の中、エアコンが使えないのは、本当につらいです。早く復旧しますように。**さて。話は変わりますが、来月から消費税が上がります。大物家電や車のタイヤが売れているとニュースで言っていました。で、うちの冷蔵庫、いつからあるのか、だいぶお年のはず。扉の内側に書いてあるよ、と教えてもらって、見てみたら、なんと2000年の表...

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台風、大雨と落ち着かない天気が続きますが、停電が続いている方にお見舞い申し上げます。この猛暑の中、エアコンが使えないのは、本当につらいです。早く復旧しますように。

**

さて。話は変わりますが、来月から消費税が上がります。大物家電や車のタイヤが売れているとニュースで言っていました。

で、うちの冷蔵庫、いつからあるのか、だいぶお年のはず。扉の内側に書いてあるよ、と教えてもらって、見てみたら、なんと2000年の表記が!おわあ、19年使ってるの?!

だいたい、冷蔵庫とか洗濯機とかは耐用年数10年ぐらいですよね。買ったお店に聞いてみたら、前の冷蔵庫の作動音が大きくなったからって買い替えにきてから、それぐらいたってるよ、と言われました。

別の友だちの恐ろしい経験。冷蔵庫は突然壊れるよって話。娘の誕生日のためにケーキを作って冷蔵庫に入れて置いたら、冷蔵庫が壊れ、ケーキが台無しになってしまったとか。真夏の8月が誕生日だったんですって。だから、年数がたったら買い替えた方がいいよ、電気代もお得だよって。

でも、動いているものは買い替えなくていい、という年寄りの言で、そのままです。増税前に買った方がいいような気がするんですが…。

ふと洗濯機のふたを開けてみてみたら、2003年の表記。
…うちって家電が全部年寄りかも。